
社会を良くするためのアドボカシー活動
社会にはさまざまな問題が存在しますが、こうした問題の解決を目的として、各国の政府や政府関係機関が取り組んでいます。
ですが、現在の社会にどのようなことが必要とされているかについて、行政の人間だけでは把握しきれないようなことも存在するため、政府をサポートできるような民間の活動も必要とされています。
そのような目的で政府に各種の提言をおこなうことをアドボカシー活動と呼んでいて、日本ユニセフはじめ外国では一般的におこなわれている活動です。
アドボカシーとは
近年の日本でもこのような活動がさまざまな人や団体によっておこなわれるようになって、社会が抱えるさまざまな問題を解決するために、積極的な提案をしています。
このような活動によって生まれた提言が、政府の政策に影響を与えることもあり、民間と政府が協力して住みやすい社会を実現するための努力をしています。
活動がおこなわれている規模も非常に多様で、個人で活動をしている人もいれば、数百人程度のグループでおこなわれるような大規模なものもあります。
活動の場もそれぞれ異なっていて、大規模なメディアで自分たちの提言をおこなうグループもあれば、インターネットを使用して提言をおこなっている個人も多くいます。
アドボカシー活動の方法
自身のホームページを開設して提言を行う方法や、ソーシャルネットワークを利用して、より多くの人に利用してもらう方法まで、それぞれが工夫をして、自分の提言をより広く知ってもらうための努力をしています。
集会を開催して多くの大衆の前で自分の提言をおこなう方法もあり、自身の主張の正当性を証明するために、独自の調査がおこなわれることもあります。
調査から判明した結果から、社会の問題点が明らかになるような場合もあり、意義のある方法です。
立法府に特定の法律を制定することを直接訴えるのも、こうした活動の一つです。
法律を制定する権限を持っている議会に直接働きかけることにより、社会的に弱い立場にいる人の権利を立法で救済することができます。
アドボカシー活動はその主張する内容などによっても、いくつかの種類に分けることができますが、特定の専門分野において豊富な知識を持っている人がおこなっているのが、専門型アドボカシーです。
政策を決定する立場にいる人にも大きな影響力がある
専門家にしかわからないような、特定の事象に関する問題点などを提案するのが専門型アドボカシーの特徴で、専門家の意見であることから、政策を決定する立場にいる人にも大きな影響力があります。
政策担当者から依頼されて専門家が自身の考えを提起することもあり、行政府でもこうした専門家の力を積極的に活用して、政策決定に役立てています。
予算型アドボカシーという活動もあり、この活動では特に行政府の予算執行に対して、独自の提言をおこなっているのが大きな特徴です。
外からではわかりにくい行政内部の予算編成に対して、外部の人間が関与することにより、予算の透明性などを確保するのが狙いです。
予算の内容をわかりやすく説明することを行政に求めることも、典型的な予算型アドボカシーです。
どのようなことを一般の大衆が望んでいるのかを、活動を通して行政府に訴えていき、住み良い社会の実現に取り組んでいます。
大衆型アドボカシー
規模の大きなものを特に大衆型アドボカシーと呼ぶことがありますが、この種類に分類されるものは、多くの参加者が活動に参加しているのが特徴です。
特定の政治的提言に賛同する人が数千人規模で集会をおこなうことなども、典型的な大衆型アドボカシーで、デモ行進などの方法で、提案をおこなう場合もあります。
参加する人の数が多いことが直接提言の実現に結びつかないこともありますが、大規模な人が参加したイベントは社会的にも大きな影響力があります。
アドボカシー活動は提言の普及のために利用する手段によっても、いくつかの種類に分類できますが、メディアを中心に提言の主張をおこなっているのがメディア型アドボカシーです 。
特定の提案を多くの人に知ってもらうために、テレビコマーシャルなどが活用されることもあり、コマーシャルを見て、多くの人に自分たちの提言を普及させることによって、提言の実現のために働きかけています。
まとめ
アドボカシー活動で提案される考えは、多くの人が共感しやすいタイプのものから、受け取る相手によって共感しやすさが大きく異なっているものまでさまざまです。
多くの人に共感してもらいやすいような提言ならば、実現の可能性もその分高くなりますが、人によって考え方が異なる複雑な問題に関する提言の場合には、共感する者だけでなく、反発する者が現れる場合もあり、実現の可能性にも影響を与えます。
最終更新日 2025年7月7日